Eli’s note from MILANO #13 『ボン・ナターレ!クリスマスの伝統的な飾り』
みなさんこんにちは!
インポート雑貨バイヤーのEliです。
ミラノの街はすっかり華やかなクリスマスムード。
今年も、ミラノのクリスマスをみなさまにお届けいたします!
イタリア語ではクリスマスのことを、Natale(ナターレ)と言います。
この「ナターレ」はラテン語の「誕生」を起源としています。キリストの生誕の日ということですね。
12月になると駅や大きな広場には様々なアルベロ・ディ・ナターレ(クリスマス・ツリー)や、賑やかなクリスマスマーケットが登場し、街路灯は美しいイルミネーションで飾られ、一気に街が華やかになります。
ツリーのデザインは毎年変わるので、それもクリスマスシーズンの楽しみです。
では早速ここで、ミラノの今年のツリーをいくつかご紹介。
ミラノのクリスマスツリーたち2023
Piazza Duomo(ドゥオーモ広場)
今年のミラノのドゥオーモ(大聖堂)広場のツリー。
次回(2026年)の冬季オリンピックはイタリアのミラノとコルティナ・ダンペッツォで開催予定で、そのオリンピックのミラノ・コルティーナ財団によって今年のツリーは提供されています。
写真ではよく見えないのですが、オリンピックのシンボルである、金・銀・銅のメダルを彷彿とさせるオーナメントで飾られていました。今年もとても華やかですね!
Galleria Vittorio Emanuele Ⅱ(ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガレリア)
こちらはDuomo広場の隣、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガレリアというアーケードの中のツリー。高級ブランドのブティックが立ち並ぶこのアーケードの今年のツリーは、イタリアを代表するラグジュアリーブランドGUCCI(グッチ)のツリーです。
Piazza Cordusio(コルドゥージオ広場)
ミラノの中心部にある、アールヌーボー様式の建築が美しく立ち並ぶ広場。
ここはBOSCOLO(ボスコロ)というホテルやリゾート、トラベルなどの会社が提供のツリー。
様々な言語で挨拶が書かれたリボンで飾られていたのが特徴的でした。日本語もありましたよ!
Piazza dei Mercanti(メルカンティ広場)
中世にはミラノの商業と行政の中心地だったメルカンティ広場には、イタリアのペルジャーのチョコレートBaci(バチ:キスの意味)で有名なペルジーナ社のクリスマスツリー。
今では街中や家庭でも飾られて、クリスマスの楽しみの一つとなっているこのクリスマスツリーですが、イタリアではそれほど昔からあるものではなかったそうです。
では、イタリアの伝統的なクリスマスの装飾はどのようなものだったのでしょうか?
イタリアのクリスマスの伝統的な装飾「プレセピオ」
イタリアの伝統的なクリスマスの装飾である「Presepio(プレセピオ)」。
これは、「キリスト生誕シーン」を模した模型で、生まれたばかりのキリストやマリア様、天使たち、羊や馬などが厩の中に配置されています。
手のひらサイズから実際の人間よりも大きなものまでさまざまなサイズがあり、伝統的な配置に従って飾られます。
800年の歴史を誇る伝統的な装飾
▲ 南イタリアのストリートマーケットで売られているプレセピオのパーツ
プレセピオの歴史は古く、1223年のクリスマスの日に、(*)アッシジの聖フランチェスコによって、キリスト生誕の場面が上演されたことが始まりと考えられています。
聖フランチェスコは、イエス・キリスト生誕の地を訪れるために聖地(パレスチナ)へ巡礼し、そこでイエスの誕生の典礼をいくつも見てきました。
イタリアに帰国後、本物のロバや牛などを使ってキリスト生誕の場面を再現してみせたことで、文字が読めない人にもキリスト誕生の物語を伝えたと言われています。
*アッシジとは、イタリア中部に位置するウンブリア州・ペルージャ県にある都市。アッシジの聖フランチェスコとは、カトリック教サンフランシスコ会の創設者である修道士で、イタリアの守護聖人。アッシジは聖フランチェスコの出身で、キリスト教の巡礼地として知られています。
その後、キリスト生誕の表現は絵画と並んで装飾品が教会だけでなく、貴族の家庭などに芸術品として普及しました。
特に、アッシジの位置するイタリア中部から、南部にかけてとてもポピュラーで、ナポリには何代も続くプレセピオ工房があります。ナポリの職人が作るプレセピオはとても人気があります。
キリスト誕生のストーリーを学べる
現在では、プレセピオは教会の他に、お店にディスプレイされたり、一般家庭にもクリスマスの装飾として飾られています。
見た目はジオラマとフィギュアのような感じですね。
イタリアの子供たちは、クリスマスのプレセピオの飾りつけをすることによって、イエス・キリスト生誕のストーリーや聖書の大切なシーンを学んだりしているそうです。
教会に行くとその土地の地形に沿って作られたプレセピオがあり、昔の街の様子が想像できたりして、見ていてとても面白いです。
12月25日に生まれたキリストの人形(赤ちゃん)は12月24日のイブまで飾らず、夜中の0時を過ぎて25日になったらプレセピオの中にキリストを置くというのが風習です。
日本ではあまり知られていませんが、イタリアでは伝統的なクリスマスの装飾といえば、実はツリーではなくプレセピオなのです。
日本と違い、厳かなイタリアのクリスマス
キリスト教の最大宗派カトリックの総本山、バチカンのお膝元であるイタリアのクリスマスは宗教的な意味合いが強く、イエス・キリストの降誕を祝い、喜ぶ。厳かな日となります。
一般的には家族や親戚みんなで集まり、共に食事をし、教会に出かけたりします。
イタリアでも宗教を重んじている人やそうでない人もおり、宗教観は人それぞれですがクリスマスだけはやはり特別で、みんな大切にしているように思います。
恋人とロマンティックなディナーを楽しむというような日本のクリスマスとは全く違います。
イメージ的には、日本のお正月の大晦日や元旦といった感じでしょうか。
家族や親戚と新年を祝い、初詣に行くというものに近いです。私たち日本人も信心深い人とそうでない人と様々で、日常的に神社に行かなくても、初詣だけは行くという人も多いですよね!
逆に、大晦日や元旦は、友達や恋人とパーティーをしたりして過ごすのがイタリア流なので、日本と完全に逆ですね。
やさしいクリスマスプレゼント
先日、近所を散歩していたら生演奏の音が聞こえてきたので近くまで行ってみると、そこは子供専門病院の前。
観光用によく使われている2階建てのバスに楽団がいて、入院中の子供たちに向けて演奏をしていました。「病院にいるみんなのために演奏するよー、子供達、その家族、そして医療関係者の皆さん、良いクリスマスを!」と言っていました。
このライブがなんとも素晴らしく、ふわっと心があたたまりました。とても粋なクリスマスプレゼントですよね。
大々的に告知するわけでもなく、何かの宣伝でもなく...サラッとみんなの心をちょっと楽しくする遊びに溢れている、このイタリアのやさしい雰囲気がやっぱり好きだなと思いました。
おわりに
今年はちょうどクリスマスイブが日曜でお休みの方も多いかと思いますが、皆さんはどのように過ごされる予定ですか?素敵なクリスマスになると良いですね!
私はイタリア流で、家でのんびり過ごす予定です。
では、Buon Natale! ボン・ナターレ(イタリア語でメリークリスマス)、そして良いお年を!