Eli’s note from MILANO #19 「日常のイタリア語講座」
こんにちは!イタリア・ミラノ在住、インポート雑貨バイヤーのEliです。
6月のミラノは気候が良いため、バーベキューやピクニックなど、屋外でのイベントが盛んに行われています。私も積極的に参加して、この季節を楽しんでいます。
大人数が集まるイベントも多く、最近は初めて会う人と会話をする機会が増えました。
日本人は会話の中で「へぇー」「うんうん」などの相づちをよく使いますが、私もイタリア語で会話していると、話に夢中になるあまり、つい日本語の相づちを使ってしまいます。するとイタリア人は面白がり、「不思議な音をよく出すけど、どういう意味なの?」と聞かれることがあります。
私もイタリア語を学び始めた頃、イタリア人独特の相づちや表現が新鮮で、非常に興味を持ったことを思い出します。
今回は、イタリアの日常生活のなかでよく使われるイタリア語の相づちや表現をご紹介します。
【はい】
Si(シ)
これは「はい(英語での「イエス」)」という意味です。「シ、シ、シ」と何回も言うこともあります。まるで「はい、はい、はい」という感じですね。
【いいよ / わかった】
Va bene(ヴァ・ベーネ)
「いいよ」「OKですよ」という意味です。
例えば、
「ミーティングは明日でいいかな?」
「Va Bene!(ヴァ・ベーネ)/ いいよ!」
になります。
【まあいいよ】
Vabbe(ヴァベ)
「Va bene(いいよ / わかった)」と同じような意味ですが、100%の「いいよ」ではなく、「(仕方ないね)まあいいよ」というニュアンスのときに使います。
日常生活では、
「私は疲れているから、今日はあなたが食器洗いしてくれる?」
「Vabbe(ヴァべ)/まあいいよ」
のように、本当はちょっと嫌だけど、まあいいよというときの返事に使います。
【いいね】
Che Bello / Bella(ケ・ベッロ / ベッラ)
Bello(ベッロ)/Bella(ベッラ)は、「美しい」や「すてき」という意味です。そこにChe(ケ)をつけることによって、「なんて美しいんだ!」という表現になります。
これは、相手を褒めたいときにも使いますが、もう少し広い範囲でも使える表現です。「その話面白いね」や、なにか出来事に対して「よかったね」など、気に入ったことに対してなんでも使えます。
日本語にすれば「いいね」のようなニュアンスです。
ここで、なぜBello(ベッロ)/Bella(ベッラ)と語尾が2つあるかということを簡単に解説します。
イタリア語には男性名詞・女性名詞があるので、「いいね」の対象によって語尾が変わります。
男性名詞・女性名詞という言葉を初めて聞いたという方もいらっしゃるのでは。
その名の通り、名詞がそれぞれ性を持っていて、男の性を持つものを男性名詞、女の性を持つものを女性名詞とグループ分けされています。
基本的には、男性名詞の場合は、語尾が「O/オ]、女性名詞の場合は語尾が「A/ア」となります。(イレギュラーもありますがここでは基本だけ押さえておきましょう)。
そのため、男性に対してこの表現を使いたいときは、Bello(ベッロ)、女性に対して使う時はBella(ベッラ)になります。
日本語にはない概念ですが、イタリア語の他にもスペイン語やフランス語、ドイツ語など、ヨーロッパの多くの言語の名詞に性がついています。
正しいイタリア語を覚えるためには重要な要素なので、覚えておくと良いでしょう。
ただ、ちょっと男性名詞か女性名詞かで悩んでしまうようなら、一旦、Che Bello(ケ・ベッロ)で覚えてじゃんじゃん使ってみるといいと思います。
文法的に語尾が多少間違っていても、日常会話であれば意味は通じるので、「いいね!」という気持ちは伝わります。
【さあ】
Allora(アッローラ)
この「アッローラ」は非常によく使われます。シチュエーションによって意味が変わります。
- 「それでは」:例えば話の最初に「それでは始めましょう」のような使い方。
- 「それで?」:急かすようなとき(話を促すとき等)に使います。「それで?(結局何が言いたいの?)」というような感じです。
【ほら!/ なんで!/ いいじゃん!】
Dai!(ダイ)
ちょっと尻込みしているときなどに、ダイ!と言います。
例えば、
「今ダイエット中だからデザートはやめておこうかな...」
と言ったときに、
「いいじゃん、(そんなこと気にせず今日は食べようよ!)」という感じで
「ダイ!」
と使います。
【さあね】
Boh(ボォ)
何か質問されたときに、「知らない」「よくわからない」という意味で使います。
この「Boh(ボォ)」を言うときには、多くの人は肩をすくめて両手を広げるジェスチャーをします。
【さあ、どうだろう?】
Mah(マァ)
どう考えれば良いかわからないときの、「さぁね、どうだろうね」というふうに使ったり、もしくは、「やれやれ(ちょっと不満)」という感じでも使います。
【うーんと / そうですねぇ】
Beh(ベェ)
答えにくい質問をされたときや、断定的な言い方をしたくないときに使います。相手と意見が異なるときや、その異なる意見を言う前にも使います。
「Boh(ボォ)」「Mah(マァ)」「Beh(ベェ)」は、似たようなシチュエーションで使われるので、違いを理解するのに時間がかかりました。
私が「へえー」と言ってしまった時に、イタリア人に「何それ!」と爆笑されることがありますが、私からすると「ボォ / マァ / ベェ」も同じくらい面白い言葉だと思っています。
例えば、よく意味のわからない広告やポスターなどをみた時に、その場にいるイタリア人に「これ、何が言いたいんだと思う?」と聞くと、「ボォ」(さあね!)という一言で返事がきます。
「ボォ」は、日本人の私にとっては、言葉というより音のように聞こえるので、今の音はなんだったんだろう?と、最初戸惑った思い出があります。
それと同じような感じで、私の「へえー」がイタリアの人には、「不思議な音をよく出すけど、一体なんなの?」と思われ、笑われてしまうのだと思います。
おまけ:日本でもよく知られているイタリア語
【Ciao(チャオ)】
イタリアの挨拶として有名です。英語の「Hi(ハイ)」のように、時間を問わず使えるカジュアルな挨拶です。「バイバイ」や「またね」のような別れの挨拶にも使えます。イタリアでのカジュアルな会話は「チャオ」で始まり「チャオ」で終わります。
【ドレミ】
音楽の音階「ドレミファソラシド」はイタリア語です。
【ブラボー】
「素晴らしい」という意味で、日本でもよく知られていますね。
例えば、日本でもコンサートの最後に、観客が拍手と共に「素晴らしい/よくやった」という意味で「ブラボー!」と声に出して喝采することがありますよね。
イタリアでは、コンサートの後の拍手喝采のようなシチュエーションでも使いますし、日常会話でも、相手を褒める際にも使います。
ただ、賛辞を送りたい相手が男性か女性かによって、Bravo(ブラーヴォ)Brava(ブラーヴァ)と語尾が変わってくるのですが、意味は同じです。「Che Bello / Bella (いいね)」のところで説明した、男性名詞と女性名詞がここでも適用されます。
実は、他にも単数・複数によっても語尾が変化するのですが、ここでは文法の解説をしたいわけではなく、ブラボーという言葉を紹介することがメインなので、割愛させていただきます。もしまた機会があれば解説しますね。
【プロント】
日本では多くの人がコーヒーショップのチェーン店の名前として覚えているかと思いますが、イタリア語で「プロント」は「準備OK」という意味です。
その他、電話に出るときの「もしもし」としても使います。
【ヴェローチェ】
これもコーヒーショップのチェーン店の名前として知っている人も多いのではないかと思いますが、イタリア語で「速い」という意味です。
カフェ・ベローチェのウェブサイトによると、スピーディなサービスを目指してつけられた名前だそうです。
コーヒーショップのチェーン店の名前として、イタリア語が使われているのは、コーヒーが美味しいイタリアをイメージしているのだろうと想像します。
日本の私たちの身近なところでも、意外とイタリア語が使われていることがわかりますね。私がイタリア語を学び始めた頃、これらはイタリア語だったんだ!とはじめて知りました。
同じように、イタリアで日本語がそのまま使われているものもあります。例えば、柿、枝豆、豆腐、カラオケなどがあり、日本語由来であることをイタリアの人も知らないまま使っているようです。
枝豆や豆腐は日本食レストランで使われる食材なので、多くの人は日本のものだと認識していますが、柿はスーパーマーケットでも手軽に購入できる食材のため、日本語だと知らなかったという話をよく聞きます。
知っている言葉だけれど、どこの国の言葉なのかあまり意識しないで使っているものは、意外とあるものですね。
おわりに
いかがでしたか。今回は教科書やガイドブックなどにあまり載っていない、日常生活の中で使うイタリア語表現をピックアップしてみました。
文法的に、少しややこしい話もしてしまいましたが、あくまでも今回は相づちの表現なので、あまり細かい文法などは気にせず、チャンスがあれば使ってみてください。
私たち日本人も海外の人と話している時に、相手が日本語を使って相づちをしてくれたら、それが文法的に正しいかどうかより、日本語を交えて話してくれることに驚いたり、嬉しかったりしますよね。
また、「なんでその言葉知ってるのー?」と話題が広がり、コミュニケーションが円滑に進むこともあると思います。
今回ご紹介した相づちや表現を知っていると、些細な会話もちょっと楽しめるようになるかもしれません。
異文化の中での発見と学びは尽きることがありません。次回も、イタリアでの興味深いエピソードや豆知識をお届けしますので、お楽しみに!