暑さを楽しく乗り切ろう!イタリアの夏レシピ
毎日暑い日が続いていると思いますが、いかがお過ごしでしょうか。
イタリア・ミラノ在住、インポート雑貨バイヤーのEliです。
イタリアも同じく、気温の高い日が続いています。
この時期は体力も食欲も落ちてしまいがち。食欲をアップさせるには、日々の食事に涼を取り入れて食べやすくする工夫が必要ですよね。
今回は、夏の暑さを乗り切るため、イタリア料理のバイブルともいえる「Il Cucchiaio d’Argento(イル・クッキアイオ・ダルジェント)」から、夏におすすめなイタリア料理のレシピをご紹介します。
「Il Cucchiaio d’Argento(イル・クッキアイオ・ダルジェント)」について
「Il Cucchiaio d’Argento(イル・クッキアイオ・ダルジェント)」は、イタリアの家庭料理から高級レストランまで、幅広いレシピを網羅した料理書として知られています。
英語圏では「The Silver Spoon」としても知られており、初版は1950年に出版されました。この本は、イタリアの料理文化を象徴するものであり、何世代にもわたって愛され続けています。
昨今、インターネットで料理のレシピを簡単に検索することができます。しかしインターネットがない時代、イタリアの多くの女性にとって、本書は嫁入り道具のひとつだったという話も聞いたことがあります。辞書と同じくらいの厚みがあり、約2,000ものレシピが収録されています。
イタリア料理が大好きな私もまた、イタリアに来て最初に購入したのはこのレシピ本でした。
イタリアの食事の流れ ~前菜、プリモピアット、メイン~
そんなイタリア料理のバイブルから、夏にぴったりなレシピをピックアップしました。
イタリアでは、一般的に、前菜、プリモピアット、メインという順番で食事が提供されます。プリモピアットとは、日本語では「第一のお皿」と訳されて、パスタやお米などの料理やスープなどが該当します。前菜はあくまでも助走、その次にお腹を満たすような最初のお皿(料理)をいただき、メインへと進みます。これは、レストランだけではなく、家庭でも同じで、前菜、プリモピアット、メインという順番で食事を進めていきます。
今回はイタリアでの食事の流れに沿って、前菜、プリモピアット、メイン、それぞれ一品ずつご紹介します。日本のスーパーでも手に入りやすい材料に代用できるケースもあるので、アレンジポイントも一緒にお伝えします。
今回ご紹介する料理のお供には、よく冷やした白ワインがオススメですよ!
夏にぴったり!イタリア料理のレシピ
①前菜|ベーコンとグリーンペッパーで風味をつけたホタテ(Cappesante al bacon e pepe verde)
(準備時間: 10 分、調理時間: 6 分)
4人分 1人分あたりのカロリー: 205kcal
○準備するもの
・ホタテ貝 4 枚
・ベーコン 2 枚
・コニャック 1/2 カップ
・グリーンペッパー 小さじ ½
・バター 20 g
・塩
○作り方
1.ホタテの殻をむき、身を取り出します。ヘーゼルナッツ色のびろびろとほつれた部分と、周囲にある黒い繊維を取り除き、流水で洗います。
2.グリーンペッパーはすり鉢でつぶすか、小型のミキサーで刻みます。フライパンを熱し、ベーコンを加えて強火で油が出てカリカリになるまで炒めます。
3.フライパンをキッチンペーパーで拭き取り、バターを加えて泡立つまで溶かします。ホタテを加え、両面を約30秒ずつ焼き、塩で味付けし、コニャックをふりかけて軽く蒸発させます。
4.刻んだグリーンペッパーとベーコンを加えて混ぜ、綺麗に洗って乾かした貝殻に入れて盛り付けます。
アレンジポイント!
コニャックやグリーンペッパーなど、日本では調達が難しい商品もあると思います。すでにある身近な調味料で代用する場合、コニャックはブランデー、グリーンペッパーはブラックペッパーなどを使用しても美味しいと思いますよ。
夏は少し冷ましてから食べるのもおすすめ!
カリカリに焼いたベーコンの旨みと、バターとコニャックで焼いたジューシーなホタテが味わい深い一品です。熱々でももちろん美味しいですが、冷めると味が馴染んでくるので、暑い夏は少し冷ましてから食べるのもおすすめです。
②プリモピアット(第一のお皿)|
ファッロ(スペルト小麦)とトマト、オリーブとペコリーノ(チーズ)の冷たいサラダ(Farro con pomodori, olive e pecorino)
(準備: 20 分 + 浸漬調理: 45 分)
4人分 1人分あたりのカロリー:450kcal
○準備するもの
・ファッロ(皮付きスペルト小麦) 300 g
・ミニトマト 300 g
・トスカーナ産ブラックオリーブ 20個
・トスカーナ産ペコリーノチーズ 50g
・バジル 1束
・スパイシーチリパウダー 1つまみ
・乾燥オレガノ 1つまみ
・ニンニク 1片
・エキストラバージンオリーブオイル
・塩
・ネギ 2本 *イタリアのネギと日本のネギは違うので要注意
○作り方
1.まずファッロを12 時間水に浸します。次に、流水ですすぎ、水を切ります。(注1)
2.たっぷりの沸騰したお湯に、塩とニンニク 1 片で味付けし、ファッロを約 45 分間煮ます。(注2)
3.水を切り、オリーブオイル大さじ 4 杯、塩少々、オレガノ、チリペッパー少々で味付けし、混ぜて冷ましておきます。
4.ミニトマトを洗って半分に切り、種を取り除きます。オリーブの種を取り、ネギの皮をむいて薄切りにします。
5.ペコリーノチーズを角切りにし、バジルの葉を一掴み洗って細かく切ります。
6.ファッロが冷めたら、すべての材料を加えて混ぜ、風味がなじむように30分ほど置いてから、お好みでバジルの葉を数枚加えて盛り付けます。
注1: ファッロの種類によって、12時間水に浸す工程は必要ないものがあります。商品によって異なりますので、必ず調理方法をご確認ください。
注2: ファッロの種類によって、煮る時間が45分ではない場合もあります。調理方法をご確認ください。
アレンジポイント!
レシピでは、ネギ2本となっていますが、このレシピに書かれているイタリアのネギは、ネギの根の部分が小さな玉ねぎのように丸くなっている形状のものです。風味は似ているのですが、日本のネギに比べて辛味が少なく、どちらかというと玉ねぎのような甘さがあります。
日本のネギを使う場合は、長ネギの辛味の少ない根元の白い部分を4-5cmくらいか、玉ねぎを1/4か1/2で代用できるのではないかと思います。辛味の強い長ネギを入れすぎてしまうと、ネギの風味が強くなりすぎてしまう可能性がありますので、ここは味のバランスを見ながらお好みで調整してください。また、ペコリーノチーズはパルメザンチーズで代用可能です。種類が異なるため風味や味は異なるのですが、スーパーやコンビニで簡単に手に入ります。ぜひお試しください。
イタリアではポピュラーな食材「ファッロ」
ファッロは、あまり日本では馴染みがないかもしれませんが、食物繊維やプロテインも豊富で健康に良いとされており、イタリアでは割とポピュラーな食材です。冬はミネストローネなどのスープに入れたり、夏は冷製サラダに混ぜて食べます。
見た目は、お米のような形で、古代小麦と呼ばれており、普通の小麦より栄養価が高いことからヘルスコンシャスな人々から支持されています。日本では、オーガニック食材店や輸入食材を扱うスーパーマーケット、ネットなどでも簡単に購入できますので、ぜひイタリアの味を楽しんでみてください。
私は、プチプチとした食感が気に入っています。暑い夏に、冷たいものが食べたいけれど、葉っぱのサラダでは物足りないという時にオススメのレシピです。
③セコンドピアット(メイン)|甘酸っぱいソースのサーモン串 (Spiedini di salmone in salsa agrodolce)
(準備時間: 10 分 調理時間: 4 分)
4人分 1人分あたりのカロリー: 400kcal
○準備するもの
・サーモンの切り身 600g
・小レモン 2 個
・ネギ 1 本
・生姜 2 cm
・サフランの糸 1 つまみ
・スパイシーチリパウダー 1 つまみ
・アカシア蜂蜜 ティースプーン1杯
・エキストラバージンオリーブオイル
・塩
○作り方
1.サーモンの皮を剥き、ピンセットで骨を取り除きます。 サーモンの身を約 2 センチの立方体に切り、木製または竹製の串に刺します。
2.次に甘酸っぱいソースを用意します。レモンを絞り、果汁を濾してボウルに入れ、オリーブオイル大さじ4杯、塩少々、サフラン、スパイシーチリパウダー、皮をむいてすりおろした生姜、みじん切りにしたネギ、蜂蜜と一緒にかきまぜて乳化させます。
3.最後に準備しておいたサーモンを焼いていきます。サーモンに少量のオリーブオイルを塗り、塩を少々振って味付けします。予熱したオーブングリルで、串のすべての面が焼けるように回しながら3〜4分間焼きます。
用意したソースに浸して、温かい状態でお召し上がりください。
アレンジポイント!
スパイシーさをプラスしてくれるサフランの糸やチリパウダーは、スーパーでよく見かけるカレー粉(粉状タイプ)ひとつまみで代用できるでしょう。辛さが足りない場合は、お好みで鷹の爪をいれるなどして調整してみてください。
大人は白ワインと一緒にどうぞ
一口大にして串焼きにしたサーモンは、食べやすいサイズ感なので、お子様にも人気です。ちょっとピリッと辛めの甘酸っぱいソースが、さっぱりしたサーモンに絶妙にマッチし、暑い夏でも食欲がそそられます。大人の皆様には、相性抜群の白ワインと一緒に召し上がっていただきたいです!
まとめ
今回は、日本でも入手しやすい材料を使用したアレンジポイントを交えて、暑い夏の日でも食べやすいイタリア料理のレシピをご紹介しました。最近では、輸入食材を扱うスーパーやネットでの取り扱いも増えているので、レシピ通りつくって本場の味を楽しむのもよいですね。
涼を感じるイタリア料理を楽しみながら、暑さを少しでもやわらげ、夏のひとときをより豊かに過ごしてみませんか?
ではまた次回!