
Eli’s note from MILANO#22「ジアスのカーテンのオフカット生地がジャケットスーツになって世界に発信されました」
イタリア・ミラノ在住、インポート雑貨バイヤーのEliです。
ミラノといえば、デザインやファッションの街として知られているかと思います。
9月にはミラノコレクションが開催され、ファッション業界関係者や、世界のトップモデルが集結。
おしゃれな装いの人たちで街が華やぎます。
そのミラノコレクションの期間中に行われたイベントで、ジアスのカーテン生地が素敵なお洋服に生まれ変わって発表されました。
今回は、その様子をレポートしていきます。
ミラノコレクション / ミラノファッションウィークとは?
ファッション業界において、ミラノコレクションは「プレタポルテの祭典」として広く知られており、世界中のファッションに多大な影響を与え続けています。
ミラノコレクションは年に4回開催され、200を超えるファッションブランドやメーカーが新作を発表する重要な発信源となっています。
毎回、革新的なデザインや新しい素材使いが注目を集め、次のシーズンのトレンドを先取りする重要な指標にも。
ミラノならではのラグジュアリー感と洗練されたスタイルが反映され、ファッション業界だけでなく、世界中のメディアも注目する重要なイベントです。
ミラノコレクションの期間中に行われたイベントでコレクションを披露したブランド「Luciorta(ルシヲルタ)」

ミラノファッションウィーク中に開催されたイベントで、Luciorta(ルシヲルタ)がコレクションを披露しました。
Luciorta(以下、ルシヲルタ)は日本のブランドで、特に働く女性や女性起業家を応援するためのカスタムメイドジャケットを提供しています。
このブランド名は「足るを知る」という言葉を逆さにしたもので、「私たちはすでに十分豊かであり、ありのままで価値がある」というメッセージが込められています。
ルシヲルタのジャケットは、女性が自分の魅力を最大限に発揮し、社会に貢献できるようサポートするアイテムとして位置づけられています。
ジアスのカーテンのオフカット生地がジャケットの素材に

この「ルシヲルタ」のジャケット、実はジアスのオーダーカーテンを縫製する際に余った「オフカット生地」で仕立てられているんです。
なぜ、ルシヲルタがジアスのカーテンのオフカット生地を活用するようになったのでしょうか。
そのきっかけは、2022年に遡ります。
株式会社まるさんかくしかく(代表取締役:福井氏)が運営するブランド「ルシヲルタ」のジャケットスーツ。
繊維業界が抱える残反や廃棄問題に対して、少しでも解決の糸口を見つけたいという福井氏の思いが出発点でした。
アパレル業界では、大量に服を作っては大量に消費し、余った服や生地は処分されるものが多いのが現状です。
カーテンでもオフカット生地が出ることを知った福井氏は、ジアスにジャケットの製作を提案しました。
当社でも、カーテンの縫製時に余ってしまったカーテンのオフカット生地の活用法を検討していました。
しかし、技術的にも高い壁があり、なかなか活路を見いだせずにいたのです。
同じ問題意識を持つ福井氏とジアスが出会い、サステナブルなジャケットスーツ「ルシヲルタ」が誕生。
廃棄生地は500万トンにも及ぶとされており、この取り組みは、地球にやさしいファッションの新しいかたちを示しています。
ルシヲルタのショーに行ってきました

9月22日、ミラノファッションウィークの最終日、イベントが行われました。
今回ルシヲルタがコレクションを披露したのは、新進ファッションデザイナーに特化したイベント「SATISFASHION(サティスファッション)」。
そこでは20人以上の若く才能のあるファッションデザイナーが、それぞれショーを行う形式のものでした。
このサティスファッションは、Mystyle-Events(マイスタイル イベント)という、ファッションとマネージメントのエージェンシーが行っています。
ミラノ、パリ、ベルリンなどの主要都市で行われるファッションウィークの期間中にイベントを開催し、若手デザイナーをサポートすることを目的としているそうです。

場所は、ミラノの歴史あるイベントスペース「I CHIOSTRI DI SANBARNABA」です。
古い修道院の回廊を利用した場所で、モダンでありながらも静かで安らかな雰囲気が漂う、特別な空間です。
そんな格式高い場所で行われた合同ファッションショーには、世界中から多くのファッション関係者が招待され、活気に満ち溢れていました。

シャッターチャンスを狙うカメラマンやインフルエンサーたち
ルシヲルタのショーは3番目にスタート。
「いのちをいかす」というテーマのもと、サステナブルな素材利用に取り組み、カーテンのオフカット生地を使用したコレクションのほかに、着物の生地も活用。
完全国内生産による高品質な仕立てで、環境問題への意識を広めることを目指しています。
観客たちが固唾を飲んで見守るなか、次々と登場するモデルたちが、デザイナーの情熱を体現した美しいコレクションを披露しました。

カーテン生地特有の光沢感や、身体に沿って生まれた陰影が美しく演出されています。
歩くモデルの動きに応じてなびく生地は、カーテンならではの重厚感。

大胆なデザインのカーテンも、スーツにすることでスタイリッシュに。
唯一無二のデザインです。
通常のファッション素材とは異なるユニークな素材使いが、ルシヲルタならではの個性的なデザインと絶妙に融合し、観客を魅了していました。

ショーの最後にはデザイナー福井彩恵氏が挨拶。拍手喝采でした。

ショーが開催されたI CHIOSTRI DI SANBARNABAの美しい回廊のある中庭より
展示会とアフターパーティー

ショーの翌日、私はミラノ市内で行われた展示会とアフターパーティーに参加しました。
この展示会は、ファッション業界で「Resee(リシー)」と呼ばれる形式のものです。
ランウェイで発表されたブランドの最新コレクションを、観客がより詳細に鑑賞できる場となっています。
ランウェイでの躍動感のある演出とは異なり、ゆっくりと作品に触れることができるため、ファッション業界関係者にとっては非常に重要なイベント。
今回も、前日に合同ショーを行ったブランドが集まり、それぞれのコレクションが展示されていました。
ランウェイで動きながら着用していた時には気付かなかったような、衣装の細部に至るまでじっくりと見ることができ、その緻密なデザインや素材の美しさに改めて感銘を受けました。

ルシヲルタのスーツの独特の質感と光沢は、実際に手に取ってみるとより一層引き立ちます。
特に印象的だったのは、ルシヲルタの特徴でもある高い縫製技術が、どのアイテムにも余すところなく発揮されていた点です。
ジアスの高品質な生地との組み合わせによって、ルシヲルタのデザインは一段と際立ち、サステナブルかつラグジュアリーな印象を与える作品に仕上がっていました。

その後行われたアフターパーティーでは、ショーの興奮がまだ冷めやらぬ中、成功を祝う多くの関係者が集結。
デザイナーやバイヤー、ファッションジャーナリストたちが交流し、次のシーズンや新たなコラボレーションについての話題で盛り上がっていました。
展示会とアフターパーティーは、単なるショーの延長ではなく、ブランドの世界観やクリエイションの裏側を深く理解する機会となり、ファッションの魅力をさらに実感できる貴重なイベントでした。
まとめ
今回のミラノコレクションで発表されたルシヲルタのショーを通じて、ジアスのオフカット生地がどのようにクリエイティブなデザインへと昇華されていったのかをご紹介しました。
伝統と革新が交差するランウェイの熱気、そして繊細な縫製技術によって生まれ変わるサステナブルな素材の美しさが、皆様に少しでもお伝えできていたら幸いです。
世界へ向けて、可能性を広げるこれからのルシヲルタの挑戦に、ますます目が離せません。
ジアスも、オフカット生地を通じてこれからもコラボレーションしていくので、どうぞお楽しみに。