トレヴィーゾ便り #3 「華麗なる仮面の祭典ヴェネツィアのカーニバル」

みなさんこんにちは、イタリア在住のミナミです。

イタリアも日が長くなり、日中はあたかかくなって、春を感じる季節になって来ました。

春は花祭りやイースターなどのイベントを控えており、街中ワクワクとした雰囲気を感じます。

その中でも注目すべきイベントは、色とりどりの衣装に包まれた人たちが集まる仮面の祭典「カーニバル」。

今回は、世界三大カーニバルのひとつでもある「ヴェネツィアカーニバル（Carnevale di Venezia）」についてご紹介します。

ヴェネツィアのカーニバルの起源

ヴェネツィアのカーニバルの歴史は、中世まで遡ります。

正式に記録されている最も古いカーニバルの開催は1094年で、当時のヴェネツィア共和国では貴族が自由に楽しめる祭りとして広まったといわれています。

特に18世紀がはじまる頃には、ヴェネツィアが文化・芸術の中心地として繁栄し、カーニバルの熱気も最高潮に達しました。

この時期には貴族だけでなく市民も仮面をつけて参加し、身分を超えた交流や、演劇・舞踏会が街のいたる所で開催されました。

しかし、1797年にナポレオンがヴェネツィア共和国を征服すると、カーニバルは禁止されてしまいます。

それから約200年間、公式なカーニバルは開催されませんでしたが、1980年代にヴェネツィア市が復活を決定し、現在のような世界的イベントへと発展しました。

カーニバルの期間と開催時期

ラテン語の「Carne Vale（カルネ・ヴァレ）」＝「肉を取り除く」という言葉が語源となったカーニバル（Carnevale）。

ヴェネツィアのカーニバルは、年によって異なりますが、2月中旬から3月上旬にかけて約2週間にわたり開催されます。

断食を行う「四旬節（クアレージマ）」がはじまる前に思い切り楽しむイベントとして親しまれています。
断食といっても、お肉を食べることを控えたり、いちばん好きな食べ物を食べないなどと、さまざまな形で行われます。

※キリスト教の四旬節は、復活祭（イースター）の46日前の水曜日から始まります。

ヴェネツィアのカーニバルの見どころ

1. 仮面と衣装：ヴェネツィアならではの優雅さ

ヴェネツィアのカーニバルといえば、美しい仮面（マスケラ）と豪華な衣装が特徴です。

主に見られる仮面の種類を3つご紹介いたします。

バウタ（Bauta）：白い仮面と黒いマント、三角帽子を組み合わせた伝統的なスタイル 

モレッタ（Moretta）：口をきけないようにデザインされた、神秘的な黒い仮面 。口の部分には開口部がなく、目の部分のみ穴が開いている。

ヴォルティ（Volto）：顔全体を覆うシンプルな仮面

カーニバル期間中は、仮面をつけた人々がサン・マルコ広場や運河沿いに集まり、まるで18世紀にタイムスリップしたような優雅な雰囲気を演出します。

2. 主要イベントとパレード

カーニバル期間中にはさまざまなイベントが開催されます。

特に有名なのが**「天使の飛翔（Il Volo dell’Angelo）」。

サン・マルコ広場にて、天使の衣装をまとった女性が鐘楼（カンパニーレ）からステージまで、ロープをつけて舞い降りる人気イベントです。

鐘楼（カンパニーレ）の高さは約100メートルもあるんだとか。

前年のカーニバルのパレードに優勝した女性が選ばれ、天使の飛翔を行うことができます。

そのため、ヴェネツィアの女性にとって天使の飛翔は、とても名誉なことといえるでしょう。

• 「マリアたちの祝祭（Festa delle Marie）」：12人の女性が豪華な衣装をまとい、サン・マルコ広場まで行進するパレード。

参加者たちは歴史的な衣装をまとい、古きよきヴェネツィアの雰囲気を体現します。

この12人の中から、翌年の「天使の飛翔（Il Volo dell’Angelo）」の主役の座を決めます。

• 水上パレード（Festa Veneziana）：大運河（カナル・グランデ）を彩る華麗なゴンドラが行き交うパレード。

装飾されたゴンドラや、色とりどりに仮装した人々が織りなす、まるで絵画のような光景が美しく、ドラマチックです。

特に日の出や日の入りの時間帯には運河の水面が金色に輝くため、写真撮影にもおすすめです。

• 仮面コンテスト（Concorso della Maschera Più Bella）：最も美しい仮面と衣装を競う大会。

夜には仮面舞踏会が開かれ、18世紀の貴族のような雰囲気を味わうこともできます。

子供たちにとってのカーニバル

カーニバルは、子供たちにとっても夢のようなイベントです。

この季節になると、子供達は王子様やお姫様、スーパーヒーローなどのキャラクターの衣装を着て、街中の広場や大通りを**コリアンドリ（Coriandoli）**と呼ばれる紙吹雪を撒きながら練り歩きます。

イタリア各地で子供向けのイベントやパレードも多く、家族全員で楽しめるのがカーニバルの魅力です。

カーニバルの伝統菓子

カーニバルの時期には、イタリア各地で伝統的なお菓子が楽しめます。

• フリッテッレ（Frittelle） - 【ヴェネツィアの名物】 サクッと揚げられた生地に、レーズンや松の実が入ったもの、クリーム・チョコレート・ザバイオーネ(卵黄、砂糖に甘口ワインを混ぜたクリーム)入りのものがあります。
  
  

• ガラニ（Galani） - 【ヴェネト地方】 薄く伸ばした生地を揚げて粉砂糖をまぶした、軽くてサクサクしたお菓子。
  ほかの地域では「キアッケレ（Chiacchiere）」や「クロストリ（Crostoli）」と呼ばれます。
  
  

• カスタニョーレ（Castagnole） - 【イタリア全土】 一口サイズのまん丸い揚げ菓子。
  シンプルなプレーンタイプのほか、リコッタチーズやクリーム入りもあり、外はカリッと中はふんわりした食感が特徴です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ヴェネツィアのカーニバルは、華麗な仮面と衣装、歴史あるイベント、美味しい伝統菓子が楽しめる魅力的な祭典です。

もし訪れる機会があれば、ヴェネツィアの美しい街並みとともに、まるで異世界に迷い込んだような特別な体験を楽しんでみてはいかがでしょうか？