
トレヴィーゾ便り #2「国ごとに違う愛のかたち:ヨーロッパのバレンタイン」
皆さんこんにちは。 イタリア在住のミナミです。
気がつけば2月になり、バレンタインデーの雰囲気が高まる時期ですね。
日本では、女性が恋人や思いを寄せる相手にチョコレートを贈る習慣があります。
また、友人やお世話になっている人へ日頃の感謝を込めて贈る「義理チョコ」文化も根付いています。
一方、ヨーロッパでは、国によってバレンタインの過ごし方が異なることをご存知でしょうか?
今回は、国ごとのバレンタイン事情をご紹介します。
バレンタインの歴史
バレンタインデーのはじまりについて、少しだけお話ししたいと思います。
3世紀のローマ帝国皇帝クラウディウス2世は、若者たちに結婚を禁じていました。
「若者が戦争に行きたがらないのは、故郷に残る家族や恋人と離れたくないからだ」と、結婚によって兵士の士気が弱まると考えたのです。
キリスト教司祭ヴァレンチノは、結婚もできないまま戦地に送られる若者をあわれに思い、若い兵士の結婚式を内緒で執り行いました。
そのことを知った皇帝は怒り、ヴァレンチノをキリスト教からローマ宗教に改宗させようとしました。
しかし、その命令に従わなかったために、司祭ヴァレンチノは2月14日に殺されてしまいます。
愛の尊さを説いたヴァレンチノは、その勇気ある行動から、恋人の守護神「聖バレンタイン」としてまつられるようになったのです。
毎年2月14日は、ローマの国民がお祈りをする日になりました。
さらにそのあと、14世紀ころからは「バレンタインデー」として、恋愛に結びつけられたイベントが始まっていきます。
現在もバレンタインデーは愛を誓う日として、世界各地でさまざまな形で祝われています。
それでは、国ごとにバレンタインデーの様子を見ていきましょう。
イタリア:ロマンチックに愛を祝う日

バレンタインデー発祥の地とされるイタリアでは、「恋人たちの日」として祝われます。
男性が女性に、バラの花束やプレゼントを贈り、ロマンチックなディナーに出かけるのが定番。
近年では、カップルで温泉スパに訪れるのが人気なんだとか。
イタリアのスパは水着着用のため、男女混浴が可能です。
リラックスしながら、ふたりだけの特別な時間を過ごせます。
バレンタインデーが平日の場合、家で特別なディナーを楽しんだり、週末に旅行を計画するカップルが多いようです。

QC Terme San pellegrino 大自然に囲まれたカップルで楽しめる人気の温泉スパ
参考までに、私が在住しているイタリアでの贈り物ランキングをご紹介します!

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赤いバラ:バレンタインの象徴で、花屋には朝から行列ができます。
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チョコレート:人気はあるものの、女性にとってはやや物足りない印象。
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ジュエリー・香水・キャンドル:サプライズ旅行やディナーと組み合わせることも。
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ロマンチックなディナー:外食をするか、普段より特別な食材やワインを用意し、自宅で贅沢な食事を楽しみます。
フランス:愛を詩やメッセージで伝える

フランスでも、バレンタインデーはロマンチックな一日。
プレゼントとして定番のバラの花束やチョコレートに加え、手書きのメッセージカードが人気です。
恋人たちは街に繰り出し、ともに素敵な時間を過ごします。
カップルによりますが、ロマンチックなディナーに出かけたり、映画やコンサートを観たり、小旅行に出かけることも。
パリのレストランは予約で埋まり、街角では愛を誓うカップルの姿が見られます。
また、フランスでは「愛の詩」を贈る習慣もあります。
特に芸術や文学を愛する国民性から、ロマンチックな詩や手紙を贈るのが素敵なバレンタインの過ごし方とされています。
イギリス:子どもから大人まで。幅広く楽しむイベント

イギリスでは大人だけでなく、子どもたちもバレンタインを楽しみます。
学校では、友だち同士で手作りチョコレートを交換するそうです。
特にロンドンでは、百貨店やショップのショーウィンドウがチョコレートのディスプレイで彩られます。
また、恋人だけでなく家族や友人にメッセージカードを贈る習慣もあります。
2月14日が近づくと、可愛らしいデザインのバレンタインカードが店頭に並びます。
日頃の感謝を伝えるタイミングがなかなかないという人には、絶好のチャンスですよね。
子どもから大人まで、幅広い年齢層が楽しむイベントとなっています。

ロンドンの人気デパート Harrods のチョコレートコーナー
ドイツ:幸運と情熱を象徴する「豚」

ドイツでは、定番アイテムのバラの花束に加え、豚のモチーフを取り入れたプレゼントが人気。
「幸運の豚(ラッキーピッグ)」を意味する「Glücksschwein(グリュックシュヴァイン)」と呼ばれる豚の形をしたチョコレートやぬいぐるみなどが贈られます。
豚は新しい年の幸運を運んで来るといわれており、バレンタインデーだけでなく、新年や旅立ちにも豚グッズが大活躍。
ロマンチックというより、遊び心のあるバレンタインの雰囲気です。
北欧:さりげない愛の表現

デンマークやフィンランドといった北欧地域のバレンタインは、イベントとしては大きくありませんが、とても素敵な習慣があるのでご紹介します。
デンマークでは、「スノードロップ」という白い花を贈るのが一般的。
スノードロップは可憐な草姿に下向きの白い花を咲かせ、春の訪れを知らせる花といわれています。
また、男性が女性に詩を書き、それを匿名で贈る「ガッケブレフ」という伝統もあります。
フィンランドでは「友達の日」として、恋人だけでなく友人にもプレゼントを贈る習慣があります。
日本の「義理チョコ」に近い感覚で、日頃の感謝の気持ちを伝える日として親しまれています。
チョコレートのほかに、チューリップも定番ギフトのひとつ。
バレンタインデーの時期には、街に色とりどりのチューリップがたくさん並びますよ。
スウェーデンのバレンタインデーは、「みんなのハートの日」とも呼ばれています。
フィンランドと同じく、恋人だけでなく友人や家族へ愛を伝える日です。
チョコレートの他に「ゼリーキャンディー」も人気で、カラフルなスイーツを贈ることも。
北欧地域は国によって楽しみ方はそれぞれですが、どれも心躍る素敵な習慣ですよね。

まとめ

ヨーロッパ各国のバレンタインデーにはロマンチックな要素があり、日本とは異なる文化の違いが興味深いですよね。
イタリアやフランスのように恋人たちが愛を祝う国もあれば、イギリスやフィンランドのように友達や家族とも楽しむ国もあります。
それぞれの文化に合わせた過ごし方は非日常感があり、普段はお互いに言えなかった言葉も、きっと素直に伝えることができるはず。
皆さんも、今年のバレンタインはいつもと違うスタイルで楽しんでみてはいかがでしょうか?
ぜひヨーロッパのバレンタインデーをご参考に、素敵な日をお過ごしください。