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トレヴィーゾ便り#7「バカンスは生きがい 〜イタリア風バカンスの過ごし方〜」

トレヴィーゾ便り#7「バカンスは生きがい 〜イタリア風バカンスの過ごし方〜」

こんにちは。トレヴィーゾ在住のミナミです。
いよいよ本格的な夏の季節がやってきましたね。
イタリアではサマータイムで夜10時頃まで明るいので、1日がとても長く感じます。

今回お届けするのは、イタリア人にとって最も大切な夏の過ごし方、「バカンス」。
日本の夏休みや有給休暇に当たるバカンスは、イタリア人にとって1年の中でいちばんの楽しみであり、非常に重要視されています。

多くのイタリア人が「バカンスは人生の一部であり、生きがいである」と語るほど、彼らにとっては豊かな時間そのもの。
クリスマスや年末年始が終わると、すぐに夏のバカンスの話題で持ちきりに。
「家族とどう過ごそうか?」「どこに旅行しようか?」「どんな体験をしようか?」
そんな計画に胸を膨らませるのがイタリア流です。
 

どのように過ごす !? 子どもたちは3か月の夏休み !

信じられないかもしれませんが、イタリアの学校には6月初旬〜9月初旬まで、およそ3か月の夏休みがあります。

子どもたちの発表会やイベントは5月末から6月上旬にかけて行われ、今年は6月6日が、小中学校の年度末でした。
イタリアの学校には日本のような卒業式はありませんが、年度末には「学祭」があります。
ここでは全校生徒、先生、保護者が一緒に参加し、発表会や持ち込み軽食、ダンスなどで1年間の学校生活が終わったことを盛大にお祝いします。

年度末はレストランを貸し切って、子どもたちと保護者たちで交流会ディナー

日本の学校では夏休み中に宿題が出ますが、イタリアではそう多くありません。
子どもたちは「思いきり遊び、よく休む」ことを目的に夏を過ごします。
とはいえ、共働きの家庭で子どもがいる家庭は、この3ヶ月をどのように乗り切っているのでしょうか?

1、サマースクール 

イタリアでは夏休み期間中、年齢やジャンル別にさまざまなサマースクールが開催されます。
たとえば、自然の中で多様な体験をするもの、アートに特化したもの、さらにはサッカー、バスケ、水泳などのスポーツに特化した、強化合宿のようなサマースクールもあります。
日本のような部活動がないイタリアでは、こうした課外活動を通してスポーツや社会の経験を積むことが大切にされています。

個性を生かすアート系のサマースクールの様子。自分達の描きたいものを自由に描いています。

2、ノンニ(nonni) |おじいちゃん、おばあちゃんと過ごす夏休み

イタリアでは、おじいちゃんのことを「ノンノ(nonno)」、おばあちゃんのことを「ノンナ(nonna)」と呼びます。
おじいちゃんとおばあちゃんをまとめて「ノンニ(nonni)」と呼び、日本語の「祖父母」よりもカジュアルで、小さなお子さまから大人まで広く使われている言葉です。

それぞれの家庭環境によりますが、イタリアでは基本的にノンニ(おじいちゃん・おばあちゃん)の手厚いサポートが見られます。
日頃から学校や習い事への送り迎えを担当している家庭も少なくありません。

さらに、多くのイタリア人はバカンス用の別荘を所有しているか、バカンスに合わせて別荘をレンタルする人が多いのだとか。
子どもたちが、夏休みをノンニの別荘で過ごすことはよくある光景です。
実際に私の子どもたちも、毎年夏休みの一部はシチリア島にある祖父の海の家で過ごすことが恒例となっています。
これは、家族愛の絆が深いイタリア文化を象徴するひとつだと感じます。

 

イタリア人にとってのフェッラゴストは夏のハイライト

8月15日のフェッラゴスト(Ferragosto)の海岸で集まって盛り上がる人達

フェッラゴスト(Ferragosto)とは、イタリアで毎年8月15日に祝われる夏の祝日です。
これはイタリア人にとって、夏のバカンスのまさに「ハイライト」といえるでしょう。
この日を境に、企業、役所、レストランなど、あらゆる場所が一斉に休みに入ります。
イタリアでは、会社員は法律で年間20日の有給休暇の取得と、最低2週間は連続して休暇を取ることが義務付けられています。
そのため、ほとんどのイタリア人は、このフェッラゴストの前後、つまり8月の半ばにバカンスを取ります。
自営業者などの場合は、バカンスのピーク時を避けて6月や9月に休暇を取り、人混みの少ない時期に旅行を満喫するという選択肢も増えてきています。

観光地は例外も

「この時期にイタリア旅行を計画していたのに、お店はどこも閉まっているの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
ご安心ください。主要な観光地にあるほとんどのお店は、8月も営業しています。
とはいえ、お店によって異なる場合がありますので、事前に確認することをおすすめします。

 

別荘でゆっくり過ごすバカンス

イタリア人は人口の約8%の人達が別荘を所有しており、これはおおよそ12人に1人という割合です。

夏の長期バカンスだけでなく、週末や連休に利用するケースも多く、海沿いや山沿いの各地に別荘があります。
自身の別荘でゆっくりバカンスを過ごす人もいれば、短期・長期貸しの別荘を借りて毎年異なる地域でバカンスを楽しむ人も多く見られます。


旅行でアクティブに過ごすバカンス

多くのイタリア人は、旅行が大好き。
車や飛行機を利用してヨーロッパ諸国、さらにはアジアへ旅立つ人々もたくさんいます。

特に近年、日本はイタリア人の間で人気の旅行先となっており、私の周りでも、今年のバカンスに日本へ行く予定の人が何人かいます。


とはいえ、イタリア国内にも日本に負けない魅力が盛りだくさんです。

ここからは、そんなイタリア国内でおすすめのバカンス先を、海と山に分けてご紹介します。

【海のバカンス】シチリア・アリクーディ島

イタリア人にとって、シチリアは「夏のごほうび」のような存在です。
日本でいうと沖縄諸島と近い感覚かと思います。
青く広がる地中海、美しい町並み、豊かな食文化、古代遺跡。
どれをとっても魅力的です。

シチリアの北に浮かぶアリクーディ島(isola di Alicudi)は、静けさと自然体験が魅力の火山島群です。
リーパリ島、ストロンボリ島、サリーナ島など主要7島で構成されるエオリア諸島に属し、シチリア本島から船で行ける人気の離島のひとつ。
実は、この島では車が通りません。
主な交通手段は、ロバか徒歩のみという徹底ぶりです。
日常から離れ、心からリフレッシュしたい方には最高の場所といえるでしょう。

船着き場を降りると、港には小さなスーパー、パン屋、日用品店、そしてレストランがあります。
島の中の交通手段は徒歩かロバ。
泊まる場所までの送迎と、スーツケース、水、食料などを運んでくれます。

港から徒歩45分の所にある、テラスが素敵な一軒家でのステイ。
この絶景に、疲れも吹っ飛びます。

家の中がひんやり涼しいのは、石造りならでは。ニッチには、素敵なオブジェが飾ってあります。

シチリア島特有のウチワサボテンは、「Fichi d’india (インドのイチジク)」と呼ばれています。

この実は棘に注意が必要ですが、熟すと美味しく食べられます。

美しい朝焼けに染まる空と、雲海に覆われた幻想的な海の眺めです。
このテラスでいただく朝食は、きっと格別のひとときとなるでしょう。

港からレンタルボートで島の周辺を探索。
サバイバル感いっぱいの体験です。

輝く太陽の下、島の頂上を目指してウォーキング。
眼下には雲海が広がり、その向こうにはきらめく海面がわずかに見えています。
とにかく自然をそのまま感じられる、贅沢な時間です。

港で開催されたマーケットで手に入れた手書きのタイルをお土産に持って帰りました。

アディクーディ島はイタリア人にも人気がありますが、交通手段が限られているため、他の島に比べて観光客が非常に少ないのが特徴です。
ゆっくりとバカンスを過ごしたい人たちにとっては、繰り返し訪れたい場所となっています。
もしかしたら少し上級者向けのバカンスに思えるかもしれませんが、この非現実の体験は、きっと心も体もリフレッシュさせてくれるでしょう。

 

【山のバカンス】涼しさと大自然 ドロミティ山脈(Dolomiti)

暑さを避け、静かな時間を求める家族の間では、山へのバカンスが人気を集めています。
中でも特におすすめなのが、北イタリアに広がるドロミティ山脈です。

2009年にユネスコの世界遺産に登録されたこの地域は、ヨーロッパ屈指の山岳リゾートエリア。
春夏はハイキング、サイクリング、ロッククライミング、秋冬にはスキーやスノーボードを満喫でき、年間を通して大自然を楽しめます。

標高が高く夏でも涼しいため、避暑地としては理想的な場所。
ロープウェイや展望台、初心者向けのトレッキングルートも整備されているため、小さなお子さま連れでも安心して訪れることができます。

イタリア北東部に位置する、標高1,200メートルを超える美しい山あいの町 CORTINA(コルティナ)。
切り立った岩山と深い森に抱かれたこの町は、「ドロミティの女王」と呼ばれるほど、イタリア屈指の美しさと気品を誇る山岳リゾートです。

ドロミティ山脈への玄関口ともなるこの町は、冬には世界的なスキーリゾートとして、夏には自然を楽しむ避暑地として、季節を問わず多くの旅行者を惹きつけています。
1956年の冬季オリンピックの舞台となり、2026年には再びミラノとともに冬季オリンピックの開催地として、世界の注目を集めることでしょう。

コルティナから車でわずか20分の場所には、「ミズリーナ湖(Lago di Misurina)」があります。
ドロミティの深い森に囲まれたこの湖は、静けさと荘厳な景観が魅力です。
朝は水面に山々が映り込み、その光景はまるで絵画のよう。
ドロミティを旅する際には、ぜひ立ち寄りたい癒しの場所です。

コルティナから車で40分ほどの距離にあるのが、標高2,236mの「ジアウ峠(Passo Giau)」です。
ここでは、雪に覆われた白銀の世界と、ドロミティ特有のゴツゴツとした岩山が織りなす壮大な景色が広がります。
真夏でも雪が残るこの場所は、訪れる人々を別世界へと引き込みます。

山岳地帯での宿泊は、このような石造りと木造建築のペンションタイプが多く見られます。

こちらはある日の夕食の光景。
生ハムが贅沢に積み重ねられ、ビュッフェスタイルで提供されています。
食欲をそそる豊かな香りが漂い、見ているだけでお腹も心も満たされそう。

ドロミティ山脈を眺めながらのハイキング。美しい景色と澄んだ空気に心が弾みます。

ハイキングの途中には、日本でも人気のポルチーニ茸が見つかることもあります!
8月上旬から10月頃までが収穫時期なので、運が良ければ出会えるかもしれません。

標高1,925m に位置する、周囲を壮大な岩山に囲まれた「Lago di Sorapis(ソラピス湖)」もおすすめです。
特に「Dito di Dio(神の指)」と呼ばれる尖った岩峰とターコイズブルーの湖のコントラストが印象的。
ここでピクニックを楽しむのも、格別なひととき。

駐車場から往復4時間のハイキングとなりますが、子ども連れにも人気があり、最高の景色を満喫できるスポットです。
山のバカンスを過ごす人々は、ハイキング、キャンプ、冒険を好む方に加え、人里離れた涼しい場所でゆっくり読書をしたり、スパでリラックスしたいと考える方が多い傾向にあります。

さて、あなたは海と山、どちらのバカンスがお好みですか?

 

「休むことは、生きること」の哲学

日本では「休む」ことがどこか「後ろめたさ」と結びつきがちですが、イタリアでは、休むことこそが心と体を整える「投資」だと考えられています。

バカンスは贅沢でも特別なことでもなく、人生にとって自然な一部。
そこには、家族とのつながり、自分との対話、そして自然とのふれあいといった、すべてを大切にする「生きる力」があります。

それこそが、イタリア人が何よりも大切にする「Vacanza(バカンス)」の本質なのです。

私自身も日本に住んでいた頃に比べると、この「バカンス」という時間をずいぶんと大切に過ごすようになりました。
もしイタリアを訪れる機会があれば、ぜひ旅程に「ゆっくり過ごす一日」を加えてみてください。
きっと、いつもの旅よりも深く、心に残る時間になることでしょう。

それではまた、次回のコラムでお会いしましょう。
BUONA VACANZA!(良いバカンスを!)

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